軽貨物

自家用の軽自動車を黒ナンバー(営業ナンバー)にする開業手続きのまとめ

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他人から運賃をもらって、軽自動車で貨物を運ぶ仕事(貨物自動車運送事業)をするには 、黒ナンバー(営業ナンバー)を取得する必要があります。黄色のナンバーではできません。

軽貨物の事業をはじめるのに、私は自家用(黄色ナンバー)の中古の軽自動車を入手し、自分で営業用(黒ナンバー)に名義変更を行いました。

予備知識が全くない状態でしたので、主にネットで手続き方法の情報を集めたのですが、書類の作成方法を含めて、なんだか煩雑でわかりづらく、結構大変でした。

その経験をもとに、この記事では、黒ナンバー取得手続きについてまとめています。

くわえて、自賠責保険の名義変更や軽貨物の任意保険など、軽貨物運送業の開業までに必要な手続きもご紹介します。

これから、ネットオークションなどの個人売買で自家用の軽貨物車を入手し、自分で黒ナンバー取得手続きをしようと考えている方のお役に立てれば幸いです。

軽貨物車がお勧めです

ちなみに、「軽貨物車」でない軽自動車でも黒ナンバーをとることは可能です。ですが、あまりお勧めできません。というのも、運輸局から車両の構造変更を指示されることがあり、その場合、運輸局の指示に従い構造変更する必要があるためです。そもそも「軽貨物車」って何?ということについては、“「軽貨物車」とは?主要車種・中古車価格比較”の記事をご覧いただければとおもいます。

自家用の軽自動車を黒ナンバーにする開業手続き

以下では、黒ナンバー取得手続の説明につづいて、自賠責保険の名義変更、黒ナンバーの任意保険など、開業までに必要な一通りの説明を加えています。

また、関連するお話として、最近エリアを拡大し話題となっている、アマゾンフレックスの登録書類についても、ご紹介します。

黒ナンバー取得手続きの流れ

次の順に、運輸局と軽自動車検査協会の2か所で手続きを行います。いずれも、自分の印鑑は必ずもっていきましょう。

運輸支局

軽自動車で運送事業をすることを届け出る。
⇒「事業用自動者等連絡書」はじめ 5種類の書類を提出

軽自動車検査協会

名義の変更・黒ナンバーの取得手続きをする。
⇒ 運輸局のハンコがある「事業用自動者等連絡書」と通常のナンバー変更書類を提出

最初に「軽自動車で運送業をするよ」と、運輸局にお知らせする必要があります。

軽自動車協会に「運輸局に届け出たよ」と証明する提出書類が、運輸局のハンコ(受理印)がある「事業用自動者等連絡書」です

運輸支局での手続きは、平たく言うと、「事業用自動者等連絡書」などの書類に、運輸局のハンコを押してもらう手続きです(連絡書発行の手続き)。

軽自動車協会で名義変更するとき、黒ナンバーの場合、通常の名義変更に必要な書類に、「事業用自動者等連絡書(運輸局のハンコ入り)」がひとつプラスになるわけです。

手続きには交通機関で行くことをお勧めします(ナンバープレートを外して検査協会に持っていきます)。例えば、買った車を他人名義のまま運転して手続きに行き、万が一事故となると、自賠責保険しかありませんので。

運輸支局での手続き

手続きに必要な書類は5つあります。

  1. 貨物軽自動車運送事業経営届出書
  2. 運賃料金設定届出書
  3. 運賃料金表
  4. 事業用自動車等連絡書軽自動車検査協会に提出する書類
  5. 車検証のコピー

1~4はファイルとして、居住地域を管轄する運輸支局のWebサイトからダウンロードできます。

ただし、2が必要ない地域もあります。詳しくは居住地域の運輸支局のWebサイトをご確認ください。

居住地域の運輸支局のWebサイトは、例えば、次のキーワードで検索すれば見つけられるとおもいます。

[都道府県名] 運輸支局 輸送

車検証のコピー以外は、提出用と控え用、各2部必要です。車検証は前の所有者、名義変更前のものでOKです。

運輸支局に行く前に、5以外については、各書類2部づつ、計8枚のすべてに、必要事項を前もって記入しておくことをお勧めします。そうすれば、書類に不備がなければ、ほんの2,3分で手続きが終わります。

ただ、私が手続きした時は混んでいて、待ち時間が1時間半くらいありましたが。

もちろん、記入漏れであるとかは、職員の方に書き方を指示してもらえますし、その場でなおせます(そういえば、私の時は大量の記入誤りで時間を食う人が何人もいましたが、職員や後続の方に迷惑な空気が漂っていました・・・)。

なお、運輸支局での手続きに手数料はかかりません。

手続きをする運輸支局の部課

貨物軽自動車運送事業の経営届出は、お住まいの地域の運輸支局の全てで受け付けているわけではありません。「輸送部(または、輸送課)」があるところです。

場所は、お住まいの地域を管轄する、運輸支局のホームページでよく確認しておきましょう。電話で問い合わせる場合も、黒ナンバー取得に関しては、輸送部(輸送課)になります。

なお、 事業用自動車等連絡書の有効期間は1か月です。 運輸局での手続きから1か月以内に、軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得する必要があります。

運賃料金表はどう書けばいいのか

提出書類のうち、運賃料金表の記入方法がもっとも分かりにくいとおもうので、説明したいと思います。

下図の形式の場合ですが、運賃料金表は、自分の事業に必要な個所だけを記入します。私は、下の図の赤のカコミの部分(カコミは私が入れたもの)「1. 距離制運賃表」だけ記入しました。

記入する料金は常識の範囲内で適当にきめてよいです。といっても、はじめてのことで、見当がつかなかったので、検索して適当な例を参考にし、私は次のように数字をいれました(あくまで例です)。

その他の提出書類につきましては、個人的には、大阪運輸支局の資料が見やすく参考になりました。

無料版 Acrobat Reader DCで文字をいれる方法

当たり前ですが、EXCEL形式で入手できる書類ファイルはEXCELで必要事項を入力するのが簡単です。紙にうち出して2枚も手書きで記入せずに済みます。

ですが、ファイルがPDFしかない場合は、印刷して手書きのほうが手っ取り早いとおもいます。それでも、フォントでテキストをPDFに入れたい場合は、無料のAcrobat Reader DCでできます。

無料版Acrobat Reader DCは、「ツール」メニューの「PDFを編集」が利用できませんが、「注釈」を使えばOKです。

下の図のように、テキスト入力ができます。

無料版Acrobat Readerは、こちらからダウンロードできます。

書類の印刷につきましては、プリンターをお持ちでない場合は、書類ファイルをUSBなどの記録媒体に記録するか、ネットプリントを利用して、コンビニ(ネットプリントはセブンイレブン)でプリントアウトします。

軽自動車検査協会での手続き

軽自動車検査協会での手続きに必要なものは、

  • ナンバープレート
  • 車検証
  • 住民票または印鑑証明
  • 事業用自動者等連絡書(運輸局のハンコ入り)

自分名義の自家用の軽自動車を営業車にする場合は、車検証の「自家用・事業用の別」とナンバーを変えるだけなので、住民票等は必要ありません。

軽自動車検査協会には、プラスドライバーが貸し出し用として用意されており、ナンバープレートを外すといえば貸してくれますが、交通機関で行くことをおすすめしたいので、ナンバープレートは外してもっていきましょう。

検査協会で記入する書類については、現場窓口の職員の方に教えてもらうのが早いです。職員の方は、我々がやり方を分かっていないものとして対応してくれますし、手続きをする窓口の順序を説明する紙も用意してあります。

手続きの所要時間は、混み具合によりますが、30分から1時間くらいです。

費用は黒のナンバープレート(プレートをとめるネジも付属してます)の代金のみで、1,500円弱です(地域によりわずかに差があります)。

自賠責保険の名義変更

自賠責保険の名義を変更しておきましょう (自分名義の車の場合はもちろん不要です) 。保険証に記載されている保険会社で名義変更を行います。必要なものは

  • 名義変更前の自賠責保険証
  • 車検証
  • 免許証などの身分証明書
  • 印鑑

自賠責保険の名義変更に手数料などのお金はかかりません。

自賠責保険は車自体に掛けられるものではありますが、車検証と名義が異なれば、たとえば、ピックゴーやUberEatsでは通りません(しかし、アマゾンフレックスは通りました。たまたまの可能性もあります)。

もっとも、名義変更をしておかないと、車検のとき代理人として手続きしなくてはならないなど、とても面倒なことになります。

任意保険

黒ナンバーの車検証を入手したら、営業車の任意保険に加入できます。

現在のところ、営業車の保険については、ニッチな分野のせいか、自家用車のように直接ネットで加入できる保険会社はないです。

通常は保険代理店での店頭手続きになります。ただし、次のような、黒ナンバー、緑ナンバーの車の事業用保険について、保険代理店の役目をネットで提供している会社さんがあります。

スマホで車検証の写真をとるなどして、リンク先のページにあるメールアドレス宛て(hataraku@miraisupport.jp)、もしくはコンビニからFAXで黒ナンバーの車検証の画像を送るだけで見積もりができるようになっています。

リンク先は少々わかりづらいですが、個人事業主も対象としたサービスです。

リンク先では、取り扱あつかい保険会社は損保ジャパン日本興亜となっています。私も損保ジャパンなんですが、保険料が安いので損保ジャパンさんに入っている方は多い印象です。

保険料の目安としては、事故などで保険の支払いを受けたことがなく、自家用車の任意保険に1年以上加入している方は、等級を引き継げますので、営業車の場合、ひと月当たり概ね1万円以内(例:損保ジャパンの場合、7等級、1年分一括支払いで、ひと月あたり約8千円、8等級で約7千円、以降は20等級まで、だいたい数百円づつ安くなっていきす)。

自動車保険がはじめての方は、ノンフリート6等級なので、ひと月あたり1万数千円くらいが営業車保険の相場です

損保ジャパンだと、ノンフリート6等級は、1年分一括支払で、ひと月あたり1万円前後(補償対象の年齢による割引率の違いがあるので、詳しくは見積もりをとってご確認ください)。

“ノンフリート”というのは保険に加入している車の保有台数が9台以下に適用される分類です。10台以上が”フリート”なので、個人事業主はノンフリートと考えていいです。

任意保険が初めての方は6等級からスタートで、等級が上がると20等級まで数字が大きくなっていきます。最低は1等級(割増のため、月に2万円ちかくになってしまいます)。等級は年1回更新です。

自家用の軽の保険にくらべると、保険料が2倍強くらいになってしまうのは事業用は距離を走りますので仕方がないところです。

任意保険の比較見積もり

なお、はたらくクルマの自動車保険さんは、黒ナンバーについては、

  • 損保ジャパン日本興亜
  • 三井住友海上
  • 東京海上日動火災
  • 共栄火災海上

の4社を取り扱っています。

損保ジャパンは私自身が加入しているのでつい強調してしまいましたが、損保ジャパンはどうも・・・、という方は、上記リンク先にあるフォームの「その他連絡事項 」の項目欄でその他の保険について問い合わせてみてください。

また、はたらくクルマの自動車保険さんに直接お聞きしたところ、フォームに必要事項の入力と、車検証さえ送ってもらえれば、ご希望の方は、上記の保険会社について任意保険の比較見積もりにも対応していただけるそうです。

保険証券がとどくまで時間がかかる

ところで、店頭手続きの場合、契約してから保険証券が手元に届くまで数週間とか、結構時間がかかります。

当然のこととして言いそびれましたが、アマフレや運送のマッチングサービスは任意保険加入が必須条件です。提出書類に保険証券が必要になります。

参考までにいいますと、ピックゴーとUber Eatsは保険証券がないとダメで、 保険証券が届くまでのあいだは、申し込めませんでした。

上記のはたらくクルマの自動車保険さんは保険加入の証明書を即日発行してくれるそうです。たしかにこれって、とくに開業時はメリット大きいとおもいます。保険に加入した瞬間から経費がかかりはじめますので。

アマゾンフレックスに関する補足

私の場合ですが、2019年4月の時点では、アマゾンフレックスは保険契約時の申込書で通りました。ですが、この対応は今も正式なルールではなく、ドライバー大量募集中の時期だったせいかもしれません。今現在、申込書で通るかはわかりません。というのも、アマゾンフレックスは対人・対物の補償額に要件があり、保険証券で補償内容の記載を確認する意味があるからです(後で説明します)。

手続きに必要な費用の合計

地域により、わずかに差がありますが、ナンバープレート代は1,500円程度(大抵は1,440円だとおもいます)です。住民票が500円とすると、交通費を除いて、かかる費用は、合計2,000円程度です。

緑ナンバー取得は、半年以上にわたる数々の手続きが必要なうえ、登録免許税に12万円かかります。それに比べれば、軽貨物は実質ナンバープレート代だけですので、費用がかかりませんし、手続きが圧倒的に簡単です。

アマゾンフレックスの登録に必要な書類

アマゾンフレックスの登録に必要な書類は、アプリの表記のとおりに書くと、

  • 車検証
  • 貨物軽自動車運送事業登録の事業用自動者等連絡書
  • 運転免許証
  • 任意保険証券
  • 自賠責保険証

わかりづらいのは「貨物軽自動車運送事業登録の・・・」で、すでに書きましたように、「事業用自動者等連絡書」は軽自動車検査協会に提出するための書類で、これは手元に残りません。

これについては、「貨物軽自動車運送事業経営届出書」のことと思われます。実際、届出書で通ります。サポートに連絡して確認も取りました。アマフレを見越して連絡書を写真撮影しておく必要はないかとおもいます。

上記の書類はすべて、スマホなどで写真を撮って、アマゾンフレックスのアプリから書類の画像をアップロードすることにより提出します。

アマゾンフレックスの任意保険の要件

アマゾンフレックスは任意保険の補償額について要件を定めており、対人無制限、対物1億円以上となっています。

ところで、損害保険料率算出機構(損害保険の基本料率の算定や自賠責保険への請求の調査などをしているところです)が毎年発行している「自動車保険の概況」の2018年度版(PDF)、122, 123ページに記載の統計資料によれば、全体の94.6%の任意保険は対物無制限です。

対物が1億円未満の任意保険は非常に少ないといえます(ちなみに対人は99.6%が無制限)。前述の損保ジャパンさんはもちろん対人対物無制限でした。

アマフレアプリに記載の保険の要件

税務署への届け出

事業の開始等の事実があった日から1か月以内に個人事業の開業届を税務署に提出する必要があります( 所得税法第229条 )。

守らなかったからといって、罰則があるわけではないのですが、税金面などで、かなりの不利益を被ります。

開業届は青色申告をするために必要で、青色申告でないと最大65万円(令和2年以降、電子申告・e-Taxによる申告の場合)の所得控除が受けられません。また、ご家族など同居人を青色事業専従者(何らかの仕事をしてもらい給料を払う形にすれば、かなり節税できます)にする場合は、この届出が必須です。

節税について注意を払わないと、個人事業主は会社員より税金面で何かと不利です。といいますか、マイナンバー制度により収入はいずれ捕捉されるので、その後に起きることを考えると、届け出たほうが良いかとおもいます。

提出書類の作成ですが、これが結構ありまして、

  • 個人事業の開業届出書
  • 源泉所得税の納期の
    特例の承認に関する申請書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 所得税の青色申告承認申請書
  • 青色専従者給与に関する届出書

特に、青色申告承認申請書と開業届が重要になります。自分で全ての書類を作成するのは、かなり面倒です。

しかし、クラウド会計サービスの開業freee(無料)を使うと、 クラウドアプリの指示通りに必要事項を入力するだけなので、5分もあればWeb上で書類作成できます。提出先の税務署の所在地までGoogleマップで教えてくれます。

開業freeeはホントに簡単なうえ完全無料なので、おすすめできます。開業知識に関する記事もたくさん提供しています。黒ナンバー取得前でも、見込である程度まで書類を作成しておけます。

クラウド会計サービスについて

2019年の内閣府の統計では、日本の国民負担率(=租税負担率+社会保障負担率)は所得比で約43%です。個人事業主になると、このことをダイレクトに感じとることになります。

所得(売上ー経費)や自治体ごとの健康保険料率の違いにより、だいぶ異なるのですが、例えば、使った経費が10万円増えると、平均的にいうと、4万円くらい年間の税金+社会保険料が安くなります。

逆に言うと、ある必要経費を見逃して計上が漏れると、その経費の4割くらい余計に税金や社会保険料を支払うことになり、かなり損をしてしまいます。

なので、まずは、日々の経費をしっかり記録しておくことがとても重要になります。とはいえ、申告書作成までを考えると、電子申告の時代に移行したこともあり、EXCELなどのスプレッドシートで帳簿を管理するのは大変です。

そこで現在では、クラウド会計サービスが広まりました。実際とても便利でして、会計処理作業の時間短縮や申告の正確性を強力に支援してくれます。しかし、複数の会社がクラウド会計サービスを提供していて、どれが自分のビジネスに合っているのか、利用料金も含めて迷うところです。

料金とサポートという点のみで、同レベルの廉価プランを簡単に比較すると、次の表のとおりになります。

サービス名 プラン名 月額料金(年額払いの場合・税込金額) 無料キャンペーン(2021/1現在) サポート
やよいの青色申告オンライン
セルフプラン 734円 1年間無料 なし
マネーフォワード クラウド確定申告
パーソナル 1,078円 1か月無料 メール・チャット
個人向け会計freee スタンダード 1,078円 1か月無料 メール・チャット

今現在は、やよいの青色申告オンライン・セルフプランが安いです。それに、1年間無料というのもすごい。ただし、メール・チャットでの相談サービスはありません。

私個人の主観であることをお断りした上で言いますと、軽貨物事業だけを考えると、店舗を構えるわけでもなく、車以外の固定資産や償却費、物販のように原価計算を考慮することもまずないし、難しい仕訳が出てくることはあまりないとおもいます。

多少、仕訳に困ったとしても、ネット検索で情報をさがせば、仕訳処理で悩むようなことは滅多にありません(それに、会計サービスの明細入力機能はどれも親切設計です)。自力で十分記帳でき、すぐに慣れるとおもいます。

なので、サポートはなくても(もちろんアプリの説明ページや仕訳入力のWebFAQはあります)、私はやよいの青色申告セルフプランで十分だと判断し、今は弥生を使っています。明細の入力支援機能など日々使う機能も私レベルではとくに問題ないと感じています。

もちろん、兼業で、他に不動産所得があるとか、物販しているとかの場合は他のサービスのほうがよいのかもしれません。このあたりの比較は、次のサイトが詳しく解説していましたのでご紹介します。

ところで、開業届・青色申告承認申請書を出すのをわすれてしまった!、あるいは、事業開始のタイミング上、やむをえず、申告したい年の3月15日まで(1/16以降開業は開業日から2ケ月以内)に青色申告承認申請書を出せなかった、などの理由で、昨年分の確定申告は白色にするしかない・・・という状況の方は、ずっと無料で利用できる、「やよいの白色申告オンライン・フリープラン」がお勧めです。

フリープランは、サポートサービスはありませんが(アプリの説明ページやWebFAQはあります)、Webアプリの機能は有料プランと同じです。

しかし、青色申告の65万円の控除が受けられないままでいるということは、税金+社会保険料を年間数十万円くらい余計に払い続けることになりますので、どの会計サービスを選ぶにしても、なるべく早めに青色申告に切り替えることをお勧めします。

税金・社会保険料の概算

本記事をご覧いただいている方は、はじめて個人事業主をやってみようと検討中の方も多いのではないかとおもいます。

個人事業主になると具体的に社会保険料や税金をどれくらい払うことになるのか?手取りはどれくらいになるのか? 具体的な数字が気になるでしょうし、実際、開業する前に見通しをもつことは重要です。

次のサイトでは、個人事業主向けに、税金や社会保険料のシミュレーションをしてくれます。概算ではありますが、イメージはつかめるとおもいます。

この種の計算をしてくれるサイトは他にもあるのですが、上記サイトは、各種控除や、自治体ごとに異なる健康保険料率など細かいパラメータを任意設定でき、社会保険料と各種税金の年間支払いスケジュールも表示してくれる点で、とても便利なサイトだとおもいます。

具体的な節税に役立つ情報をひとつ挙げるとすれば、私のような素人にも、いつも大変わかりやすい動画を提供されている、”税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士” が話し方も上手くて聞きやすく、個人的にお勧めです。

開業手続きのまとめ

黒ナンバー取得手続きから開業までの説明は以上になります。

すでに車を用意したという前提で、軽貨物運送業を開業するまでの作業手順をまとめますと、

  1. 運輸支局に提出する書類の作成
  2. 運輸支局で軽貨物運送事業開始の届け出
  3. 軽自動車検査協会で黒ナンバーの取得
  4. 任意保険の加入
  5. 自賠責保険の名義変更(中古で他人名義の車を購入した場合)
  6. 税務署へ開業届を提出

実際に委託業務等を開始できるのは、4または5が終わった段階から、ということになります。

手続きを素早く済ませば、手続き作業の開始から3日後くらいには、開業できてしまいますけどね。

費用対効果はひとそれぞれ

手続きは、やや煩雑なものの、 自分で一度やってみれば、難しいというほどではありません。

しかし、平日を空けなければいけませんし書類の準備を含めると、当初の想像以上に時間と手間が掛かった、というのが私の率直な感想です。

自家用の名義変更のみに比べると、運輸支局での手続きが必要な分、手数が多いため、手続きは、滞りなく進めても丸一日かかります(おすまいの地域の運輸支局と検査協会の距離にもよりますが)。

保険関連などの手続きも別途あります。

自分で手続きするのは安上がりですが、大人がこれだけの時間を使うのだから当然といえるかもしれません。何度も行う手続きではありませんし、行政書士など代行屋さんを利用(相場は約3万円)するのもアリでしょう。

自前で手続きすることの費用対効果は、個人個人の状況や考え方によるとおもいます。

この記事が、黒ナンバーの取得方法だけでなく、自前で手続きすることの費用対効果を考える参考になれば幸いです。


個人事業主・法人向け、ガソリンカード・ETCカードのおすすめ

軽貨物運送業を始めるとなれば、

  • ガソリンカード
  • ETCカード

これらは、キャッシュフローや経費節約、経費管理を簡単にするための基本アイテムですね。

ところで、任意保険でご紹介した、”はたらくクルマの自動車保険”さんの母体である、”ETC共同組合”さんは、中小の法人や個人事業主の支援を目的とした共同組合です。

ETC協同組合さんは、事業用保険だけでなく、ガソリンカード(ENEOS、出光、昭和シェル各種アリ)、ETCカード(UC)を法人・個人事業主さん向けにサービスを提供しています。

開業したての個人事業主さんでも審査は厳しくないとのことです(ガソリンカードはクレジット審査なし、かつ、年会費・カード発行手数料が永年無料 )。

審査が緩和される理由は、ETC協同組合さんに出資金として1万円を預託(退会時に返金されます)することにより、申込者に組合員の属性がつくためです。

もしまだ、お持ちでないという方は、よろしければご検討されてみてください。以下は法人だけでなく、個人事業主さんも対象のサービスです。

申し込み書類に、「確定申告写し」が記載されていますが、個人事業を始めたばかりの方は、税務署への開業届・取引先との契約書・領収書、など、事業を行っていることがわかる書面でも受け付けています。

ところで、個人用のクレジットカードを事業用として経費や仕入に使用してよいかどうかは、個々のクレジットカード会社の規約に依存し、一概には何ともいえません。ですが、経費利用であればまず問題ないとおもいます。

ただ、こうした事業用のカードがあれば経費の処理がわかりやすくなります。個人使用と経費の明細が混在することがありません。

以上、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。