だいぶ以前になりますが、 以下の記事で、アマゾンフレックスの内容をおおまかにご紹介しました。
アマゾンフレックスの概要については、この記事をご覧いただければとおもいます。
今回の記事では、アマゾンフレックスに興味がある、あるいは、仕事としてアマゾンフレックスを検討されている方に向けて、より具体的に、
- 仕事はあるのか?
- 難易度は?
- 未経験者はついていけるのか?
といった点について、2020年の1月~2月のアマゾンフレックスの現状をふまえて、ご紹介したいとおもいます。これらの事柄をお話ししたうえで、私同様、未経験者の方を想定して、
- 安全性について私が感じたこと
を最後にお話しします。
ただし、以上は大田や品川のステーションでの経験をもとにしたお話です。
また、副業的にアマゾンフレックスに参加している、宅配未経験者である私の主観が含まれている点についてはご容赦ください。
オファーの状況
大田ステーションについてですが、2019年の夏ごろオファーがほとんど出ない時期がありました。
物流閑散期の2020年の1月の現在、繁忙期に比べるとさすがに大田のオファーは減ったものの、副業的にちょくちょく入る私でさえ、オファーがとれないということはありません。
最も多くのオファーがでる水曜日を逃すと確かにとりづらいですが、おそらくキャンセル等が日々発生するため、水曜日以外でもオファーはそこそことれる状況です。2019年の夏に比べればずっとましになっています。
私は大田以外のアマフレのことはわかりませんが、ツイッター上の様子を見る限りでは、関東エリア以外の1月のオファー量は、ドライバーの数にくらべて激減しているという印象です。ちょうど、2019年夏の大田と同様の感じでしょうか。
ただし、これまでの経緯をみると、アマゾンフレックスは段階を踏みながら、計画的に着々と規模を拡大しているように見受けられます。あくまで噂レベルの話ですけれども、大田ステーションで聞いたはなしでは、アマゾンフレックスのステーションの数は、いずれ現在より一桁多くなる、それくらいの規模になるようです。現在ステーション未開設の地方にも、アマゾンフレックスはどんどん進出してゆくのではないでしょうか。
当面は、ステーション開設から経過した時間とともに、そのステーションの仕事量が安定してゆくのではないかと予想しています。
フレッシュは人気
一方、アマゾンフレッシュ(有明、川崎、新横浜)のオファーは非常にとりづらいです。オファーも少ないし、オファーが出てもすぐに完売する感じです。
決して楽という意味ではありませんが、フレッシュは、宅配にくらべると配達件数が少ない(距離は走る)食品配送の仕事で、仕事のタイプとして宅配よりこちらを好む方が多いのでしょう。ただ、時間的に余裕があるわけではありません。
オファーのとりづらさから、そもそも枠が少ない、また、軽貨物配送専業の方へのリザーブドオファー(優秀なドライバーに与えられる優先予約オファー)が大半なのかなとおもいます。
専業でも狭き門でしょうから、残念ながら、副業ドライバーがフレッシュで稼ぐのは、現在のところ大変難しいといわざるを得ません。
安定的な収入は得られるのか
私自身は今後も副業的にアマゾンフレックスを利用できれば十分と考えており、今後も、アマゾンフレックスのみで安定的な収入を得ようという考えは持っていません。アマゾンフレックスのボーナスキャンペーンも毎回他人事です。
しかし仮に、もし専業としてアマゾンフレックスで安定的な収入を得ようというのであれば、東京・神奈川でリザーブドオファーをもらえるように、一般のオファーをとりまくって稼働実績をあげる努力をするでしょう。
ある程度の時間、スマホに張り付いてオファーが出てくるのを待つ必要はあるでしょうけれど、東京・神奈川では、実績を上げる労力としてはさほどのものではなく、閑散期でも一般のオファーをけっこう拾っていけます。オファーは、
- 雨の日
- ブロック終了時刻が遅い午後のブロック、または午前開始で16:00終了のブロック
- 品川ステーションのオファー
といった点が不人気要素となっているので、このあたりを選り好みしなければ、という条件はつきます。
以上の3点の中で、最大の不人気理由は1だとおもいます。というのも、明日、雨予報に変わった段階で、普段オファーがあまりでない日時に、キャンセルとおもわれる翌日・当日のオファーがポツポツと放出されるからです。ちなみに、割増オファーがでるのは大抵は雨の日です。
2については、この記事後半の「ブロックの時間帯について」をご覧いただけると、理由がわかるとおもいます。3については、ドライバーに品川区が配達難エリアという認識が浸透しており、品川ステーションのオファーは品川区への配達となる確率が高いとドライバーが考えているためです。ただ、大田ステーションでも普通に品川は多いですが。
ただし、不人気要素があったとしても、いつまでも売れ残っているわけではなく、大抵は比較的短時間でオファーがなくなっていきます。人手不足が深刻な運送業界にあって、アマゾンフレックスの人気の高さを感じます。
いまのところ関東エリアでは、ブロックを多数こなし、ある程度高い水準(評価ポイントとしては、稼働率のほか、配達完了率、クレーム率などといわれています)の実績を作った方は、リザーブドオファーがアプリに表示されるようになります。このオファーが取れているうちは、閑散期においても仕事がなくて困ることはありません。
ただし、評価が落ちればリザーブドオファーは失われ、結局、アマゾンフレックス一本で安定的な収入を得ようと思えば、実力主義の世界で仕事をやり抜く覚悟が必要です。
リザーブドオファーの条件は不明
安定的に仕事を得たい人にはリザーブドオファーでその手段を提供しているというのは、柔軟というか面白いシステムだなと思っています。
私は、例えばイギリスで問題になっているゼロ時間契約(労働時間を明記しない雇用契約)を引き合いにだして、アマゾンフレックスのブロック制を批判する気にはなれません。 雇用関係ではない(労働者性という微妙な問題はあります)というのもありますが、このシステムの性質上、明日仕事があるか保証されないのは当然としかおもえません。
アマゾンフレックスが、エリアごとにリザーブドオファーがあるのかないのか、あるいは提供予定があるのか明示し、さらに、リザーブドオファーが与えられる条件を開示すると、より理想的におもえます。
アマゾンフレックスのPR方法が、安定的な仕事にすぐにありつけるという錯覚を引き起こさせるものかどうかという点については、私が各地域のドライバー募集の実態を知らないため、なんともいえません。もし誇大な説明があったのなら、修正すべきでしょうね。
アマゾンフレックス・プロ(Amazon Flex Pro)
アマゾンフレックス開設当初、働き方にはフレックスプロとフレクサーの二種類があるという話がありました。フレックスプロは、簡単にいえば、会社員のように週5日のフルタイムで稼働するドライバーとのことでした。フレクサーは都合のつく時間のブロックを受諾して稼働するドライバーです。
しかし、私が知る限り、2019年の春頃から今日まで、フレックスプロという枠で、アマゾンフレックスが公式にドライバーを募集したことはありません。現在のドライバーは皆、フレクサーということになりますが、フレクサーという区別がアプリ上に表示されるわけではありませんし、フレックスプロとフレクサーという区別は事実上、存在しません。
推測ですが、フレックスプロは、前述のリザーブドオファー(優先オファー)の制度で代替されているのではないかとおもいます。代替と考えて良いとすると、リザーブドオファーが与えられる条件のなかで、一定期間に多数のブロックを受諾し稼働することが、かなり重要な条件になるといえそうです。
デリバリー・ステーションには、”ProDP”という立場の方(プロ・デリバリー・パートナーの略とおもわれます。着用している安全ベストの蛍光色が白または緑。青はアマゾンの社員さん)がいますが、アドバイザーなどのステーションの運営業務、または配達業務を兼務している方たちで、フレックスプロとは異なります。
また、ProDPさんは、アマゾンフレックスの優秀なドライバーさんに個別に勧誘があるなど、通常のアマゾンフレックスの登録・契約とは別ルートでの採用とおもわれます 。
難易度
難易度には、荷量だけでなく、配達件数・配達エリアの広さ・ 配達コース・時間指定の荷量・天候・時間帯・平日か休日か・複数件数を配達できる建物の数・渋滞等の偶発的な事象、等々、様々な要素が影響します。このため、配達の難易度を測るのは大変難しいです。
また、運送業・配達経験の程度により、アマゾンフレックスの難易度の捉え方は、人それぞれ、おそらく大差があるでしょう。
ここでは、大田の荷量と配達できる時間の目安、また、仕事に課せられる制約をご紹介し、難易度を想像する材料にしていただければとおもいます。
荷量
アマゾンフレックスを始めると、おそらくステーションのスタッフから、仕事量の目安として、
ブロックの時間あたり10個の荷物を配達できるようなって下さい
と、いわれるとおもいます。
平均的荷量の目安としては、8時間ブロックで80個、6.5時間ブロックで60個強、5.5時間ブロックで50個強、といったところです。
荷量は、配達エリアが広ければ、やや少なめ、狭ければ多め、くらいのことは、荷物の仕分けである程度は考慮されています。
ただ、荷量だけ見ればバラつきが大きく、例えば、8時間ブロックで100個オーバーはそうめずらしいことではないようです。
その中には、ソフトウェア開発でいうところの境界値テストみたいな場合もあるだろうと想像してます。幸い、私はそのような恐ろしい目にあったことはありません。私ではテストドライバー?としてはレベルが低くすぎますしね。
統計的観点からいっても、情報量を多くするためには、ある程度、取得データにバラツキ(分散)をもたせる必要もあるでしょう。それくらい、アマフレはいろいろ試している段階、という印象があります。
増える荷量(2/9追記)
2月に入って、大田・品川の荷量が増えているようです。例えば、5.5時間ブロックで70個前後、配達エリアも狭くはありません。しかし、それは運が悪いわけではなく、もっと多い人もいるし、とにかく、皆さん量が多い。この数は、+15個増量の実験でもしているのだろうか?とおもってしまうほど。おそらく、ブロック時間でみて、1時間あたり10個から12個へ増量。私ごときでは軽く時間オーバーの憂き目に。
この先、これ以上に荷量が増加すると、バッグ方式のこともあるし、さすがにちょっと考えてしまいます。ブロック時間当たり10個の目安は、もはや過去の話になってしまったのかもしれません。やるからには適応するしかありませんが。
現在のアマフレの負荷がどの程度のものなのか、業界未経験者の悲しいところで私には一般的な評価ができません。そこへ最近、YoutubeのごーしんフリーランスTVさんの動画で、過去にヤマト下請けのキャリアもある宅配現役プレイヤーであるごーしんさんが、まさに現在のアマフレ(大田)の難易度について実践のうえ言及されていたのでご紹介します。
この動画では、6.5時間ブロックで76個、前述のブロックの1時間あたり12個くらいの荷量を配達されています。この動画でのごーしんさんの配達ペースは、都内初見エリアかつバッグ方式初で1時間当たり18.2個/h。宅配経験者かつ現役プレイヤーはスゴい、私のこの動画への感想はそのひとことでした(15個/hでも難しく、簡単なことではありません)。そのごーしんさんが、わりと時間ピッタリの個数だったと感想を述べており、それゆえ、
- 初心者の方は(時間内にこの荷量は)多分くばれない
- もう少し増えるとプロでも未配(配達に回れない荷物)がでかねない。この荷量は、その未配がでる限界レベルの少しだけ下のレベル
このような評価を、上の動画の16:30以降で話されています。アマフレの難易度はだいぶ上昇してきているようです。
実際に配達できる時間
配達エリアは大田や品川(平和島や城南島など)のステーションから、車で片道、約30分圏内(もう少し遠いこともあります)、大田区、品川区、目黒区がメインです。
ちなみに、大田区・品川区・目黒区、3区合わせて人口は約137.4万人で、これは都道府県別人口ランキング第27位の山口県より多い数字です(2018年の推計人口より)。面積は約97km2なので、人口密度は約1.4万人/km2 。過密都市といってよいでしょう。
ブロック開始の15分前からステーションのドックに着車できるため、受付と積込み後、ブロック開始時間から15分後くらいまでには、ステーションを出発できます(たまにある、荷物がまだできてないというケースは除きます)。なお、積込み作業自体は10分以内に完了するようにいわれております。
ただし、2020年1月16日よりバッグ(基本的には7個までのバッグに荷物をまとめ、バッグごと荷物を積み込む)で積み込む方式に変わったため、8時間ブロックについては、出発が少し遅くなった感じがします。
とうのも、大田の8時間ブロックでは、バッグが10個以上で、大半のバッグをバラさないと車に荷物が乗り切らないこともある(というか、私が周囲を見た限りではバラしてない方はいなかった)、というのが理由ですが・・・慣れればこれまでと同程度くらいになる?のかもしれません。
一応、ブロック終了時間までにステーションに戻ることになっているので、
- 積込みの時間
- ステーションと配達エリア間の往復の時間
計、約1時間をブロックの時間から差し引いた数字が実際に配達できる、だいたいの時間になります。
したがって、必要な配達の能率は、1時間で約12個の配達。約5分に1個 、という計算になります。
課せられる制約
荷物を放り投げて配達しない!?とか、基本的なマナーや法令順守、アマゾンフレックスの細かい規約のことは除き、配達時に課せられる基本的な仕事の制約についてご紹介します。
- 未配(配達に回れなかった荷物を出すこと)・誤配をしない
- 時間指定を守る
- 持ち戻りの荷物がある場合はブロック時間内にステーションに戻る
いずれも同時に守らなければならない制約ですが、項目番号は、私が勝手に優先順位として振ったもので、アマゾンフレックスの正式なルールにもとづくものではありません。
なので、私のように宅配未経験者だと、アマゾンフレックスに参加した当初は、誤配がまずいことは常識として分かるにしても、とくに未配と時間指定の重要度の差が分からないとおもいます。私も最初は分かりませんでした。
具体的には、荷量などの業務負荷によっては、未配と時間指定を同時に守れないことがあり(私の実力がないせいもあります)、その場合、このような暗黙の優先順位が効いてきます。たとえば、未配を出すくらいなら・・・、というように。
歯切れがわるく大変恐縮ですが、この仕事はこうしたもの、とだけお伝えできればとおもいます。アマゾンフレックス関連のツイートをみると、”未配”という言葉をよく見かけるとおもいますが、その理由がなんとなくわかっていただけるでしょう。未配はダメなのです。
不在時の対応
お客様が不在で、荷物を届けられないときは、
- 電話をかけ置配を提案
- 電話で連絡がとれない場合、SMSのテキストで置配を提案して5分待つ
といったことをしなければなりません。アマゾンフレックスは置配により配達完了率を向上させています。
アマゾンフレックスが始まって約1年、置配先進地域といいますか、すでに大田区・品川区・目黒区の住民は相当に置配慣れしており、お客様に連絡さえとれれば、置配の提案により荷物を落とせることが少なくありません。治安のよい日本ならではかもしれませんが、置配は人々に急速に受け入れられつつあり、成功しているのだなと実感します。
札幌・名古屋で置配の実証実験はじまる
2020年1月27日より、アマゾンフレックスのエリアである札幌市と名古屋市で、在宅・不在にかかわらず、玄関に置配をする実証実験が始まりました。
さきほど述べましたとおり、置配は成功していると実感していますので、いずれ関東エリア全域で置配が標準となるときがくるとおもっています。
しかし、それはそれで、また荷量が増加してしまうだろうから、配達が楽になるという期待はしないほうがよさそうだともおもいます。
2020/3/23より、関東エリアでも全面的に、置き配が標準化されました。お客さんが配達方法を指定していない場合、玄関への置き配とみなされます。アプリ上は玄関置配なのでこれまでと配達方法が大きくことなるということはありません。お客さんが認識できているかは別ですが。
初見エリア
ご存知の方も多いでしょうが、アマゾンフレックスでは、
初見のエリアで配達
前述の仕事量を初見のエリアでこなす必要があります。どこへ配達するのか、どれくらい配達件数があるかは、当日、荷物をすべてスキャンしてアプリで確認するまでわかりません。
エリア固定の方もいるのですが、最近、受付を済ませた順に、ランダムに荷物のカゴをドライバーに渡すようになり、エリア固定はなくしてゆくようです。これはおそらくコースによって駐禁をとられる可能性や配達難易度にかなりバラつきがあるためだとおもいます。
そんなわけで、先ほどの配達の能率は、
初見のエリアで1時間あたり約12個の荷物を配達する
ということになります。
どんなコースでも、ブロック時間内で未配をださない自信がもてるためには、肌感で恐縮ですが、1時間当たり平均15個以上の配達能力ではないかとおもいます。私はまだそこまでの能力がないせいもあり、初見エリアでこの数字は大変だと感じています。
アカウント停止について
アカウントの停止や契約解除の具体的な基準は公表されておりませんが、アカウントの停止にかかわるのは、主に以下の数字とおもわれます。
- 未配・誤配の割合
- クレームの割合
- 配達完了率
- 24時間未満のオファーのキャンセル回数
- 時間指定を守れなかった割合
他にも、置配に関するミスの数などもあるとおもっています。もちろん、違法行為等は一発で停止、というか契約解除でしょう。最近、ネット上で問題視されている、オファー自動取得アプリを使った場合もアカウント停止になります。
アメリカのアマゾンフレックス同様、180日間にわたり非アクティブだとアカウント停止になりますが、この場合は契約解除というわけではないようで、申請すれば復活するため、そこはあまり心配しなくてよいとおもいます。
アカウントにかかわる要素は察しがついているものの、数字の基準や、数字を算出する評価期間の長さについては外部の私たちにはわかりません。
昨年、アマゾンからドライバーに配達完了率90%以上を要請する通達がありましたが、統計上の期待値のようで、この数字を何回か下回ったからクビね、とかはないです。
そもそも不在率が昼夜や平日休日でちがうので、アマゾンほどの会社がその程度の重みつき計算をしてないとか、まずないことだとおもわれ、ふつうにやるべきことをやっていれば、アカウント停止という意味での配達完了率は気にしなくてよいでしょう 。
レスキューについて
配達の進捗状況は、デリバリーステーション側でモニターされています。配達のペースが遅いと、配達中にステーションから電話が掛かってきて、レスキューが送り込まれることがあります。
そうなると、ステーション側に指示された地点で、レスキューのドライバーに荷物を分担してもらうことになります。
一見、とても助かる制度のように思えるかもしれませんが、レスキューで他のドライバーに分担してもらった荷物は、レスキューされたドライバーの未配としてカウントされてしまいます。つまり、レスキューされると、かなりの失点になり、レスキューされることを繰り返すようだと未配が多いということなので、アカウント停止につながります。
マケプレとの類推(余談)
ところで余談になりますが、アマゾン販売サービス(アマゾンマーケットプレイス 、マケプレ)では、セラー(販売者)のパフォーマンスとして、たとえば、
注文不良率1%未満(期間60日)
などの具体的な基準があり、注文不良率1%以上になってしまうと、マケプレのアカウントが停止となる可能性が高くなります。
これらの数字の状態は、”アカウント健全性(アカウントヘルス)”とよばれています。 セラーセントラルというWeb上の環境でいつでも自分のアカウントヘルスを確認できます。
注文不良率とは、マイナスのフィードバック(お客さんから星2以下の低評価)をされた回数や、不良品を売ってしまいマーケットプレイスの保証申請をされたりした回数の合計を期間の注文数で割ったもので、クレーム率と言いかえてもよいでしょう。
要はお客さんからのクレームにはとても弱い。おそらく、アマゾンフレックスにもアカウントヘルスがあり、例のアマゾンの社是からすると、クレームにとても弱いのはアマゾンフレックスのドライバーもセラーと同様であろうかとおもいます。
理屈上、新兵は分母にあたる注文数が少ないので、クレームが連発すると死にやすい傾向があり、数字が悪い場合は期間60日のうちになんとか良いもの?を売りまくって数字を下げる必要があります。アマゾンフレックスにも、この”期間”に相当する、30日単位の評価期間があるだろうとおもっています。
ただし、マケプレとの類推でいうなら、評価する項目ごとに、評価期間が異なる可能性はあります。
今後、マケプレのようにアマゾンフレックスのアカウントヘルスが部分的にでも開示されるかというと、当面はなさそうなことだとおもいます。なぜなら、ドライバーの評価項目・評価方法も含めてアマゾンフレックスのシステム全般が改善の途上だと感じるからです。
未経験者はついていけるのか?
昨年11月ごろ、新規に参画される方むけの専用オファーが設けられました。アプリの使い方などの講習を座学で受講し、少量の配達をします。もちろん、報酬つきです。その後しばらくの稼働では(どれくらいのブロック数なのかはわかりません)、2/3の荷量にしてもらえます。
つまり、宅配未経験の新規参画者を受け入れるための仕組みが意識され、十分かどうかはともかく、具体的な形になってきています。
ほとんどの方は、2/3は配れます。未経験者の方は、ここは、さほど心配する必要はないとおもいます。
しかし、そこから100%の荷量をこなせるまでには、少し距離があるようにおもいます。なので、2/3の荷量のうちに、毎回、自分で振り返りをし、努力を重ねる必要があるでしょう。
振り返ってみて、自分がどこで遅れてしまったのか、というのは分かりやすいので、まじめに取り組みさえすれば、改善していけます。見方を変えると、未経験者ほど、最初が肝心だといえるとおもいます。
振り返りといっても、私の場合は、ありふれた簡単な方法で、遅かった・対応に失敗した点、それが改善可能なら対応策などをエクセルなどで列挙して検討といったかんじです。
慣れないうちは8時間ブロックはおすすめしない理由
基本的に、この時間長さのブロックが初心者向けだ、ということはないとおもっています。どのブロックも、その時間長さなりの荷量です。
ですが、8時間ブロックについては、バッグ積込み方式になったため、アマフレをはじめて間もない宅配未経験者の方には、あまりおすすめできないと感じています。
再度の説明になりますが、バッグ方式では、平均的には10個程度の荷物がバッグに入っており、バッグごと車に積み込みます。アマゾンからの周知上はバッグの数は7つ。バッグに入らないオーバーサイズの荷物(これは5, 6個くらい)は空いているところに適当に積みます。荷物をスキャンする回数が減り、積込みから出発までの時間が短縮できる、というねらいのようです。
その上で、8時間ブロックをおすすめしない理由は、
バッグをバラして積むから
というのも、8時間ではバッグが7つではなく、だいたい8個以上あるためです。10個以上のこともあります。
荷物全体の容積についてお伝えしておくと、バッグ方式以前から、ステーション出発時には、8時間ブロックの軽バンの荷室はパンパン、助手席まで荷物があふれている車も珍しくないという状態でした。
すべてのバッグ内に荷物が隙間なく詰まっているわけではなく、大きな空隙があるバッグもあり、加えて、バッグ自身の厚みの分、容積が増えているため、すべてのバッグが車に乗らないので、バッグをバラして車に荷物を詰め込むという次第です。
正直申し上げて、多大な労力を払って穴を掘り、すぐに埋め返しているような不毛感は否めません。
バッグ方式のもうひとつの利点は、アプリに表示される荷物のバッグ番号で荷室のどのへんに目的の荷物があるかが分かりやすくなることだとおもいます。
しかし、8時間ブロックは、そのバッグをバラす可能性高く、荷物が、”どのへんにあるか”、いわば索引の再構築に相当する作業が必要であることから、アマフレにあまり慣れていないうちは、8時間ブロックはおすすめしない、ということになります。
バラすかどうかはバッグの数、荷物全体の容積によるので、5.5時間ブロック、6.5時間ブロックでもバラすときはバラすのですが、バラす量が少ない8時間以外のブロックから慣れてゆくのがよいのではないか、とおもうのです。
もっとも、バッグ積込み以前の話として、大量の荷物をみてしまうと、単なる視覚効果によって荷物に呑まれてしまうような心理的圧迫感が、初心者に焦りを引き起こしやすいという意味でも、8時間をあまりおすすめできないという気はします。
次に、一般の方には細かい話であり、また、ただの個人的所感になりますが 、バッグ方式で私が感じた積込みの問題と照明の重要性について、ご興味のある方むけに少々お話ししたいと思います。
積込みの問題
配達先で素早く車の荷室から荷物を取り出すには、積込み時に、どの荷物を荷室のどのあたりに配置したか、おおまかに把握できるように積み込む必要があります。
荷室の、”どのへんにあるか”、がわからないで荷物を探すことは、IT的な例えで大変恐縮ですが、RDBでインデックスが効かない全件走査のクエリを毎回とばすようなものです。PMにひっぱたかれそうです。配達序盤で、もし悪魔に荷物をかき混ぜられたら、私は半泣きになるでしょう。
バッグには4桁の数字がばかでかく貼り付けられています。オーバーサイズの荷物以外、アプリ内で配達先ごとに、この4桁の数字が振られています。
また、正式な周知はありませんが、荷物の住所を見るに、バッグはどうやら丁番~町名くらいの粒度で荷物をまとめているようです(今後どうなるかはわかりません。また、仕分けも人がやることなので、こうなっていない荷物もあるでしょう)。
以上から、バッグのバラし方としては、次の3通りくらいあるかなと考えています。
- バラした荷物の大まかな荷室位置とバッグ番号をメモしておく
- 複数のバッグをバラして上下に重ねて積むような場合、荷物のシールの余白などに取り出し元のバッグの数字を書きいれる
- バッグごとにバラす荷物の住所をみて、町名丁番くらいの括りで荷物を分類して積む
これらが、さきほど述べました、”索引の再構築”の作業です。
あとは、上下に異なるバッグの荷物を積み分けるときは、ゴミ袋でも仕切りにいれようかな、とか考えたりもします。他に優れた方法があるのかもしれませんが、私にはいまのところ以上のことくらいしか思いつきません。
私にはとても出来ませんが、達人は、町名丁番の広大な地理イメージを記憶しており、そのイメージと紐づけて素早く積み込んでしまうのかもしれない、そんな想像をすることもあります。
照明器具は重要
バッグ方式以前は、50ポイントくらいのフォントサイズで、例えば、
9(11)
といった数字が記されたシールが荷物に貼られていました。この数字は、今でも配達先ごとにアプリに表示される数字で、カッコ内の数字で荷物を一意に特定できるようになっていました(また、カッコ内の数字の10の位ごとに、荷物を荷室に配置してゆくようにして積み込んでいました。あまり考える必要はありませんでした)。
しかし、バッグ方式になり、この番号シールは、なぜかなくなってしまいました。
今は、アプリに表示された4桁の数字やバッグの色で荷物の入ったバッグを特定した後、バッグの中から住所氏名で荷物を特定して取り出し、アプリでQRコードをスキャンして正解であることを確認、といった感じです(本来は配達先でスキャンです。配達先から一定距離以上はなれたところで荷物をスキャンする、バッドスキャンをバッグ方式が誘発させているかも)。
ただし、住所氏名は十数ポイントの普通の文書で使われるフォントサイズです。まあ、自分のこととして考えれば、50ポイントで住所氏名を荷物に貼られたくはないですけどね。
実際には、私はお客様の氏名しかみてませんけれども、番号に比べれば、情報量が多く字が小さいので、荷物がみつけづらくなりました。
これからアマフレを始める方は、夜の配送では、荷室で10ポイントの文字がはっきり見える程度には荷室を明るくできる必要がある、そうお考えになったほうがよいでしょう。バッグ方式になってから、LEDテープでも荷室に張り巡らそうかと考えたりもします。
また、長方形のバッグは面積の狭い面の片方からしか開封できず(もう一方は底板)、掘り出すようにして荷物を探すことが多々あるのですが、なぜかバッグの遮光性能は上々であり、バッグの中は暗い。夜の配送では、荷捌きをするにもヘッドライトやキャップライトがあったほうがよいとおもいました。
ブロックの時間帯について
8時間ブロックのことはともかくとして、先ほど、初心者向けのブロックの時間長さは、基本的にはない、と申しました。
しかし、ブロックの時間帯については、そうともいいきれません。
まず、次のルールがあります。
- 午前開始のブロックは、持ち戻りの仕分け処理の関係上、遅くとも16:00までにステーションにもどる必要がある
- 21:00以降の配達は問答無用でアプリの配達リスト上で”遅延”マークがつく(遅配になる)
- 配達先の呼鈴が押せるのは、21:30まで
ここで、大田・品川のオファーを選択するドライバーが次のように考えたと仮定します。
- 未配は出せない。アカウントがボロつくような結果は避けたい。早く配る自信がないので、場合によっては時間オーバーでも配達しよう
- 当日の配達難易度にはバラツキがある。エリア・コースはランダムだし、荷物がめちゃくちゃ多いかもしれない
以上をふまえると、例えば、天候が晴れ予報として、次の3種類の8時間ブロックオファーのうち、どの時間帯のオファーから消えていく(受諾される)とおもわれるでしょうか。
- 7:00 – 15:00
- 7:30 – 15:30
- 8:00 – 16:00
次の5.5時間ブロックではどうでしょうか。
- 15:30 – 21:00
- 16:00 – 21:30
- 16:30 – 22:00
簡単に答えがでたとおもいます。どちらも1が先になくなります。
水曜など一斉に大量のオファーがでるとき、その出始めからみていると分かりやすいです。ブロックの終了時刻に注目している人が多いのでしょう(もちろん、1日12時間で働く方のブロックの組み合わせ方の都合もあるでしょう)。この傾向は、多くのドライバーの、受けた仕事を全うしようという意志の表れとも解釈できます。
21:00または21:30以降は再配達を想定した時間と聞いています。22時を過ぎて配達する人はいるかというと、、、います。未配をださないために、自己責任で、お客さんに謝るつもりで行く。ただ、あまりに遅ければ、クレームとなる可能性もあります。
つまり、各評価ポイントの重みは明示されていないものの、遅配や時間オーバーより未配の失点のほうがはるかに大きいという認識がドライバーに浸透しているわけです。
補足説明ですが、同じ長さのブロックで時間帯が30分(午後では15分のことも)づつずれているのは、ステーションの限られたスペースで、なるべく多くの車を使うためだとおもわれます。
フォーラムがあればよいけど難しそう
アマゾン販売サービス(アマゾンマーケットプレイス、マケプレ)では、”セラーフォーラム”なるものがあります。そこでは、高額商品をニセモノとすり替えて返品されただとか、隣国の競合するセラーに嫌がらせをされただとか、商標権が云々かんぬんだとか、日々、生々しい現実がセラーたちの間で語られ情報共有されています。
セラーセントラルのヘルプメニューにフォーラムへの誘導があるところをみると、フォーラムはサポート業務の負荷の軽減にも役立っているようです。
アマゾンフレックスには、いまのところこのようなフォーラムがありません。アマゾンフレックスでも、”ドライバーフォーラム”のようなものがあればよいのにな、とおもいます。
たしかに、アプリにフィードバック機能がありますし、Webからもフィードバックできます。その情報をアマゾンが精査したのち、ドライバーから寄せられた情報をアプリの配達先ごとのコメント欄に反映させる仕組みです。
ただし、ドライバーにとって非常に重要なこととはいえ、その情報は主に建物へのアクセス方法に関することのみで、また、おそらく個人情報に関わるためか、配達時でなければ見れません。
そして、末端のドライバーからみると、投げた情報はブラックホールに吸い込まれただけのようにおもえ、その後どうなったのか、 役にたったのか、たたなかったのか、次に問題の配達先に行くまでわかりません。
フォーラムであれば、建物のアクセス方法以外についても、たとえば駐車場所、交通上の難所・注意すべき点だとかについても、情報共有できます。
しかしながら、宅配のお役立ち情報は、個人情報にかかわる投稿が多くなるだろうとおもわれ、そのため検閲や制限のコストが大きく、マケプレと異なりフォーラムの実現が難しいのかもしれません。
フォーラムのことはともかくとして、配達時のみだけではなく、事前に学習できる情報を、現状のメール周知以上の、双方向的な何らかの方法で共有できれば、宅配未経験者ももうすこしアマフレに慣れやすくなるのになとおもいます。
安全性について私が感じたこと
アマゾンフレックスの業務を通じて、平素、私的目的で車を運転することと、業務で車を運転することは、安全性の点ではっきり異なる、 当たり前のことではありますが、そう自覚するようになりました。
以下、あくまで宅配未経験者の視点からの意見ですが、なぜそう自覚するようになったのか、いくつかお話ししてみたいとおもいます。
焦り
今おもえば、荷量は少なかったのですが、私が最初に経験した6.5時間ブロックでみた、自分が配達する45個の荷物は、全く配達経験のない私からみると、途方もない数におもえました。初見のエリアでこんなに配達できるのかと。
そのときの配達先のエリアは、今でも苦手ですが、品川区の戸越、平塚、荏原でした(もっとも、大田区・目黒区に比べると、総じて品川区は難しいです)。
道は狭く、わかりづらく、他の車に鳴らされ、平塚では配達先の家が中々みつからずに住宅街をうろうろして自分の車を見失い(このときはゼンリンの配達アプリをもっていなかった)、戸越銀座では車に戻ると歩行者天国が始まっていてハマってみたり、荏原では配達先のマンションをでたら自分の車のまわりに緑の制服を着た方々が何人もいるのが見えて猛ダッシュして戻ったり、散々というか、いかにもド素人というお恥ずかしい状況でした。
なので、この仕事の第一印象は、配達時のあらゆる出来事が、
とにかく焦る
というものでした。それゆえ、同時に、
これは危ないな
そうおもいました。
ゲーム性
多少慣れてくると、スマホと体を使う地図ゲーといいますか(イングレスなどはやったことはありませんが)、正直なところ、アマゾンフレックスの配達にゲーム性を感じるようになりました。
また、一日単位で、いや、5時間なり、8時間なりのブロック単位で達成感を味わえる仕事というのも珍しい。普通のゲーム以上にキリが良い感じです。体を使うので、精神的にも賦活され、お金がもらえるスポーツジムみたいな感じもします。
建物と道の多様さでみると、人口密度1.4万人/km2の過密都市のマップは、あまりに広大で、大量の攻略要素があります。
初見エリアや初見の建物、課せられたタスクや時間の制約、そしてタイムアタック的な焦燥感、等々、これら克服しうる障害や苦労の数々は、ゲーム性を強調する作用があります。人によっては中毒性まで感じるかもしれません。
通常、仕事にやりがいを感じられるのは良い事ですが、しかし、ゲーム性を感じることもまた、
これは危ないな
やりがい自体を全否定するわけではないのですが、車の運転をする仕事である以上、そうおもいました。
もっとも、副業としてちょくちょくやるくらいだから、ゲーム性を感じるだけで、専業で日常化している方はまた別でしょう。
気になる一文
昨年、12月中旬、アマゾンから毎月送られてくる”フレックスマイル便”というメールの中に、次のとおり、気になる一文がありました。
直近、デリバリーパートナー様の中で事故が多発しております。年末に近づき、冬も本格化してきましたので、一層気を引き締めて運転いただき、身の安全にはご注意ください。特に事故の原因となる駐車と出発、交差点、十字路にはお気を付けください。
このタイミングでの”直近”というと、ボーナスキャンペーン中の、11月中旬以降の繁忙期で、荷量が多い時期とおもわれます。
ご安全を
実体験からいっても、初心者であるほどこの仕事で、”焦り”を感じること、また、”焦り”が認知能力を低下させ、事故の大きな原因のひとつになることは間違いないとおもっています。
とくに荷量が多い場合、あせります。
未配をだせば、ステーションでRTSというスタッフさんたちから、仕事なので彼らとしても仕方のないことなのですが、注意というか、小言くらいはもらうでしょう。それもプレッシャーの一要因となります。
また、パフォーマンスが悪ければ、二言目には、
アカウントが
という思考に陥りがちです。今後、アマゾンフレックスは全国に拠点を大幅に拡大すると予想され、もし、未配をだすなどパフォーマンスが悪いがために今の段階でアカウントを失うとしたら、その意味でも、なおさらもったいないという気はします。
しかしです。事故を起こすことに比べれば、アカウントも未配も小言も、どうでもいいくらい些細なことです。
なので、さしでがましいですが、私同様、未経験者からアマゾンフレックスに参加される方は、どうか、仕事に際し、焦らず、安全を心掛けていただければと願っています。
私も初心者を脱していません。私は配達中、”焦っているな”と感じたとき、
安全運転、安全運転
と、よく独り言をいって、自分に言いきかせています。
安全は、なにより大事です。
まとめ
主な要点をまとめます。
- いまのところ副業で、1月の閑散期でも 大田の場合はオファーを取るのに苦労しない
- フレッシュはオファーがとりづらい
- 安定して仕事を得たい場合はリザーブドオファーを獲得できるように実績を上げるほかない
- ブロックの時間当たり10個の荷物を配達ができる必要がある。実際の配達時間で考えると、初見エリアで1時間当たり12個くらいの能率
- 慣れないうちは8時間ブロックはあまりおすすめしない
- とくに初心者には、”焦り”がでやすい仕事
- アマゾンフレックスの仕事にゲーム性を感じた
- 安全は、なにより大事
以上、アマゾンフレックスを検討する上で、とくに宅配未経験者の方に、多少でも仕事の具体的なイメージをもっていただければ幸いです。